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『HaHa』母に歴史あり。愛の連鎖は説教の連鎖。お金以外に遺せるもの

更新日:

著者:吉原さん

さて。

ホライズンブルー』や『母さんがどんなに僕を嫌いでも』で、実母による虐待の話を取り上げました。

が、今回はちょっとバランスとって虐待が連鎖する話ではなく、愛情が連鎖する作品を紹介しようと思います。

押切蓮介『HaHa』です。

ホラーやゲームを素材とした作品が多く『ハイスコアガール』で書類送検されたことで有名な作者ですが、その著作の中で、何度か登場している「母」のぶえさんが今回の主役。

口を開けば説教ばかりのごく普通のお母さんかもしれませんが、すごくいいお母さんです。

自分をこの世に生んだ人間の半生

必ずそこには物語が存在するはず

それが子にとってつまらないはずは無い

(講談社/押切蓮介『HaHa』「#1」)

と、個人的な動機をにおわせますが、ある意味で誰にとっても普遍的なテーマ。

むかし、アフリカ系アメリカ人の作者が自分の先祖代々をさかのぼって物語にまとめた『ルーツ』というドラマを観ましたけど、めちゃくちゃ面白かったですね。

自分という人間の系譜を知るということは「人はなぜ生きるか」というテーマにもつながる重要な要素です。

それでは、押切蓮介先生のお母さま・のぶえさんに話を戻しましょう。

この作品を読むと、あなたも親として子どもに何を伝えるべきなのか。あらためて考えてみたくなるかもしれません。

それでは、よろしくお願いします!

愛ある説教

押切先生の母は、世のお母さん方の例にもれず説教が多いのですが、その質がキラリと光ります。

いや、よくある母親のお小言といえばまぁそうなのですが、なんだか背景に深みとコクを感じるのです。

"愛"と言ってもいいのでしょう。

母の説教1

(講談社/押切蓮介『HaHa』「#2」)

目の前のことにイライラして言葉を吐いてるんでなく、先々を見て子どものために言ってる感がそこはかとなくあるんですよ。

私も人の親ですが、そうそういつも簡単にできることではないです。

・・・日々反省です。

説教=愛情の連鎖

その愛あるお小言は、母もまた自分の母から受け継いだことが本編を読むとわかります。

そう、愛情は連鎖するんです。

「母の母」キヌヨさんのお小言をいくつかご紹介します。

「自分本位に生きると 大人になって損をするわ」

「朝ちゃんと起きて・・・その日を生きるケジメを付ける」

「明日の百より今日の五十」

「楽あれば苦あり 苦あれば楽あり」

「短気は損気」

(講談社/押切蓮介『HaHa』「#13」)

皆さん一度は聞いたことがあるような言葉が多いはず。

「そんなに特別な言葉じゃないじゃないか」と思いますか?

しかし、内容を見ればすべてこの先の人生の指針や心の財産につながるものであることがわかります。

「今、その時」の注意をしているのではなく、「先々、どうするか」ということにつながるものばかり。

親の都合で怒る言葉とは性質が違うものなんですよ。

例1)ご飯を食べるのが遅い→保育園・学校に遅刻する。

例2)騒いで遊ぶ→うるさい。ちらかる。物こわれる。

それぞれ親の立場からすると困ることではあるのですが、将来ほっといてもなおるようなものです。

決して人生の指針足りうる説教とは言えませんよね。賞味期限が短いんです。

キヌヨさんのお小言は時を超えて、押切蓮介先生にも同じように届くところにすばらしさがあるのだと思います。

親の愛に賞味期限なし。

親が子どもに伝えるべきこと

ある転機において、「母の母」キヌヨさんはこれまでのお小言の総まとめを娘・のぶえさんに話します。

世の中 理不尽で… 嫌な事も必ず起きるでしょう…

その時こそ 心を強く持っていかなきゃ…

…当たり前の事かもしれないけど

その当たり前がなかなか出来ないのが 人間の常なのよ

しっかり生きなさい

亘江(のぶえ)が親になって… 子供を授かったら…

ちゃんと道を示してあげるのよ

最後の説教

(講談社/押切蓮介『HaHa』「#13」)

"しっかり生きること"

"子どもに道を示すこと"

確かに、これができれば親として「最低限のことは伝えられた」と言え、また「これ以上ないものを伝えられた」とも言えます。

『HaHa』の巻末には、実際の押切蓮介先生のお母さまからの手書きの言葉が掲載されています。

まさに、ここにも下関で自分を育んでくれたものをすべて失い、単身東京に飛び込んで「しっかり生きて」こられたのぶえさんの人生が詰まっており、我が子だけでなく、我々にも道を示してくれます。

読者への母の言葉

(講談社/押切蓮介『HaHa』巻末)

まとめ

たった一冊のマンガ本ですが、下関の海のある風景、頑固な父、偉大な母、立派な旅館、仲居さん、可愛い犬(たち)と、見どころ満点の作品です。完成度が高く、描き表したいことがギュッと詰まった作品だと思います。

頑固な父、偉大な母

・・・あら?

今思ったけど、この作品は映画の原作向きじゃないですか?

アニメじゃないな。実写が良いです。

はじまりと終わりは下関の海と空。ウミネコの鳴き声が聞こえる。

1960年代のなんだかエネルギーのあった時代。旅館とか郷愁的ななにか。→説教

仲居さん。前時代的な親父の癇癪。不良娘。ヤクザとアクション。→説教

犬(たち)とのたわむれ。男女7人夏物語。→説教

不良少女から一転、自立青春バスガイド物語。出戻り。→説教されない!?

弱る両親。イヤな連中。闘争。

過去から現在まですべてをつなぐ、説教の形をとった愛情の物語

※何度か過去と現在をオーバーラップさせつつ。

あ・・・これ、いけるで!

めざといプロデューサーさん、お願いしまーす。

それでは、また!

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