『アタゴオル物語』人生最初のマンガに最適!猫のヒデヨシと絵本のような幻想世界へ

人生最初のマンガに最適!

著者:吉原さん(@yoshihara_san

自動販売機と家との10㎝のスキ間の先に広がる、ネコたちの世界、アタゴオル。

まるで絵画の中を歩くような、幻想的な世界に浸れる作品です。情操教育にピッタリ。

かといって無害な美しさだけを描くでなく、時にホラー、時に活劇と幅もある。

いわゆる”おとぎ話”的とでも言えばいいのでしょうか。

子どもが「人生で一番初めに読むマンガ」としては、暴力やエロを含んだごりごりのエンターテイメントよりもこういった作品の方が適しています。

それでは、よろしくお願いします!

「アタゴオル」の意味・由来は?

そもそもこの「アタゴオル」の由来はなんでしょうか?

「ヨネザアド・アタゴオル」というのが『アタゴオル物語』の舞台となる世界の、正式な名前となります。

まず「ヨネザアド」。

元は宮沢賢治が故郷・岩手を「イーハートーブ」と呼んだように、作者・ますむらひろし先生の故郷・山形県米沢市に由来するそうです。

次に「アタゴオル」の方はと言えば、同じく米沢・愛宕山に由来するとのこと。

「よねざわ」→「ヨネザアド」

「あたご」→「アタゴオル」

イーハトーブからくるものなのだとすれば、すでにこれらの言葉から作品世界を連想することができます。

誰もが心の奥に持つ原風景のようなものを。

猫のヒデヨシ

中心的な登場人物となるのは、太った大猫の「ヒデヨシ」。

食いしん坊で欲が深く、「やるな」と言われれば必ずやる男。

でも、細目でいつも笑ったような顔でどこか憎めない。

物語のトリックスター的な存在で、これでもかと話をかき回してくれます。

“力”では、たどり着くことのできない世界。

アタゴオル物語1巻表紙
(ますむらひろし『アタゴオル物語』1巻表紙/朝日ソノラマ)より引用

そして、スラッとした優男風の「テンプラ」をはじめとしたアタゴオル世界の住人たちが、ヒデヨシに巻き込まれながらも仲良く過ごす日常が、ファンタジックな世界観の中で繰り広げられます。

ちょっと他に似ている作品が思い浮かばない。強いて言えばやっぱり絵本。

『アタゴオル物語』の風景

ごちゃごちゃ口で説明してもなんなんで、いくつかの場面を紹介いたします。

『アタゴオル物語』は見開きなどで使われる一枚絵が本当に印象的ですね。

見開いた時に、一瞬、時が遅く流れているように感じるんですよ。

アタゴオル物語の一場面
(ますむらひろし『アタゴオル物語』2巻「キララ貝でひとねむり」/朝日ソノラマ)より引用
アタゴオル物語の一場面
(ますむらひろし『アタゴオル物語』2巻「汗っかきかきかき氷」/朝日ソノラマ)より引用
アタゴオル物語の一場面
(ますむらひろし『アタゴオル物語』3巻「蓮々森の音楽家」/朝日ソノラマ)より引用
アタゴオル物語の一場面
(ますむらひろし『アタゴオル物語』5巻「水晶散歩」/朝日ソノラマ)より引用
アタゴオル物語の一場面
(ますむらひろし『アタゴオル物語』6巻「夜の気流」/朝日ソノラマ)より引用

積乱雲、月、光、夜、水中、動植物。

そんなイメージが作品の中に散りばめられており、ただ眺めているだけでもこの世界に入っていけるようです。

それぞれの画像の解説無しに並べてしまって申し訳ないんですが、逆に語ってしまうことで魅力が伝わらないような・・・。

なので、あえてただ画像を並べてみました。

どうですか? なにか伝わってくるものがありませんか?

ちょっと矛盾した表現ですが、「真夜中の白昼夢」のような作品だと思います。

『アタゴオル物語』の固有名詞

特徴的なのは風景・絵柄だけではありません。

言葉のセンスも独特です。

例えば地名なんかは、子どもの作った宝物の地図とかにありそうなネーミングセンス。

「蛇腹沼」「花梨島」「水霧森」「川セミ峠」・・・。

『ピーターパン』や『エルマーのぼうけん』にでてくるようなものに近いですよね。

「おさきまっくら池」とか「空色高原」とかそういうやつ。

生き物の名前も特徴的で、特に水の生き物は好きだなぁ。

「紅(べに)マグロ」とか「銀クジラ」とか「髭マス」とか。

どうです?食べてみたくありません?

「紅マグロ」・・・ゴクン。

そんなあなたに用意しました!

なんと紅マグロを歌った歌があります(笑)。その名も「素晴らしき紅マグロの世界」

https://www.youtube.com/watch?v=FYGsrNesnDw

この動画一本見るだけで、『アタゴオル物語』の世界観の一端がかなり伝わると思います。

ちなみに、収録作品は以下のDVD。

谷山浩子作品も『アタゴオル物語』も独自の世界観をまとっていることが共通。

つまり、ほんわか明るいばかりでなく『まっくら森の歌』を連想させるような不思議な闇夜の趣も時折、顔を覗かせます。

参考

まっくら森の歌NHK みんなのうた

余談ですが、谷山浩子さんは先にも述べた『まっくら森の歌』や『恋するニワトリ』などで有名なシンガソングライターです。

子どもの頃よく「みんなのうた」を聞いていましたが、今でも耳と心に残ってますね。

たぶん、一生忘れない。おすすめです。

(余談終わり)

小学生におすすめ

寓話的で、自由で、それでいてエグ味がない。

かといって、良い人だけが出てくる空々しい桃源郷でもない。

センスの鋭い一部の子どもの心に刺さるんじゃないかなー。

絵を見てるだけでも成立しますし、やっぱり子どもにすすめる最初のマンガは文句なくこの作品ですね。

『アタゴオル物語』のおすすめ理由・まとめ

感受性豊かな子どもにも、世の中につかれた大人にもおすすめの本作品。

架空の幻想世界を堪能するにはもってこいです。

絵本をあんまり読まない子どもも、この作品が入口になって絵本を読むようになるかもしれません。

大人であれば、なんとなく浸りたいときに。

強い感情で心を満たしたくないときに、おすすめです。

ヒデヨシ見てるだけでも気が抜けて、なんとなく肩の荷が軽くなったように感じますよ。

それでは、また!

専属レビュアー・一問一答

うちの長男・チーくん(6)の感想はこんな感じでした。

吉原さん

『アタゴオル物語』どうだった?
ヒデヨシが「イェッ 紅マグロ イェッ」って言ってるのが面白かった。

チーくん(6)

吉原さん

読んでるとどういう気持ちになる?
自分もその世界にいるような…。その世界にいると気持ちが落ち着くような感じ。

チーくん(6)

吉原さん

この世界に入れたらなにをする?
テンプラが釣りしているところに潜っていって、ヒデヨシと一緒にエサのダンゴを外して食べたい。

チーくん(6)

吉原さん

(イタズラすんのかよ…)一番好きな登場人物は?
やっぱりヒデヨシ! 明るいから。

チーくん(6)

吉原さん

『アタゴオル物語』のどういうところが一番好き?
世界が静かなところ。

チーくん(6)

概ね、狙った効果は得られたようです。

評価
本人の好き度
(4.5)
父の意図伝わり度
(5.0)

試しに1冊!

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子どもの感受性を刺激するなら名画を見ることもおすすめ!

『アタゴオル物語』を読んだ子なら、今、感受性の扉が開いているはず。

はじめは好きか嫌いかだけでもいい。

その「素養の種」がまかれることが大事ではないでしょうか。

また、日本の学校はまともに美術史を教えないので、大人にとっても改めて目を通す価値は大きいでしょう。

「美術」は自分とは関係のない世界のものではなく、デザインから人間の営み(歴史)からいろんなことが学べます。

かく言う私もまったく美術的な教養がありませんでしたが、子どもと一緒に勉強すると楽しいですよ!

っていうか、「勉強」って感じないですよね。

「自分が生きている世界は一体どんな世界なのか」を知ることってすごくエキサイティングです。

アートはその一端。