『ドラえもん』のび太が起業家として確実に成功しそうな気がした話

『ドラえもん』のび太は社長の資質あり

著者:吉原さん(@yoshihara_san

『ドラえもん』の野比のび太が将来、起業家になるという話はご存知でしょうか?

実は『ドラえもん』第1話において、ハッキリと

「1988年 しゅうしょくできなくて 自分で会社をはじめる」

とあるんです。

同ページには「1993年 会社丸やけ」とでており(おそらくのび太の花火が原因)、断定はできませんが、たった5年で自社ビルを持っていた可能性すら!

そして「1995年 会社つぶれ 借金取りおしかけ」として会社をつぶしています。よく言えば事務所が焼失後も2年間は会社を存続させているんですね!

のび太は合計7年間は起業家として会社経営を行っていたことになります。

ポチポチッと検索したところ、会社設立5年目の生存率が大体15%くらいなようですので、経営者として「そこそこ」以上の手腕はあったと見てもいいのではないでしょうか。

これが、ドラえもんが影響を与える前の段階での未来です。

つまり、まっさらな状態ののび太のポテンシャルです。この時点で結構すごいんです。

それでは、ここからのび太がさらに起業家として成功しそうに感じた部分を列挙していきたいと思います。

「経営者だけが経営を考えていればいい時代は終わった」と言われて久しい世知辛い世の中。のび太の生き様で参考にできる部分もあるはずです。

それでは、よろしくお願いします!

人に頼る

程度問題ですが、事業は人に頼ることで成長していく部分も大きいと思います。

のび太は結構自分のことを知っていて、何ができて何ができないかを瞬時に判断し、できないものは「ドラえも~ん」となるわけですね(ほとんどできないんですけど)。

組織人でも優れたリーダーは自分にできないことを人にやってもらうのがうまい。

故・松下幸之助さんも、「指導者の条件」として、「自分より優れた人を使えること」を挙げられていたそうです。

「小さな商売」にトライ

調子にのりやすいのび太は、ドラえもんの道具を使ってすぐに「1回10円」などと商売をはじめます。

10歳の頃から、小さな商売で成功体験と失敗体験を積むことは将来の起業において役に立たないなどということがありえましょうか。

また有用だとわかっている道具を現金化するのは簡単ですが、有用かどうかわからない道具も自分で現金化できる方法を考えることができます。

例えば「遠写かがみ」という、ひみつ道具。

遠写かがみに映ったものを他のかがみにも映し出すという道具なのですが、ドラえもんは「どう考えても使い道がない」として壊そうとします。

が、のび太は「おもしろそうだよ。ぼくがなにか考えるから」とご飯食べたりテレビを見たりしながら根気強く考えた末、コマーシャルに利用することを思いつきます。

商店の広告をひきうけて、町中のかがみにコマーシャルとして流すというのです。

のび太は集中力がないわけでも、根気がないわけでもありません。発揮される条件が限られている、というだけです。すなわち「実利」

社員に払う給料あってこその会社であり、社長に必要な条件の大きな一つだと思います。

「15秒スポットを、百円でうるとしてさ、一時間で・・・。二万四千円!

のび太「15秒スポットを、百円でうるとして、一時間で・・・二万四千円!
(小学館/藤子・F・不二雄『ドラえもん』14巻「かがみでコマーシャル」)

さて。

さっそく次の日からスポンサー集めの営業を開始します(この行動力!)。

10歳にしてこの発想と行動力はなかなかのものだと感心します。

のび太を「無能」としか読まない人は、「のび太」というアイコンに目をとらわれすぎている、ということはないでしょうか。

『ドラえもん』があまりにも普及している弊害かもしれませんね。

のび太の特性は、官僚タイプの優秀さではなく、実業家タイプの優秀さなのですよ。

ビッグマウス

「海賊王に 俺はなる」

のび太のビッグマウスは、『ワンピース』のルフィ並みです。

事例は枚挙にいとまがありません。一つご紹介します。

「ぼくは宣言する!!」「自分で、見つけてみせるぞ!!」「爪だけじゃなく、恐竜の丸ごとの化石を発掘してみせる!!」

「・・・・・・・・・」

「またよけいなこといっちゃった。くやしまぎれにでまかせをいうのがぼくの悪いくせだ・・・・・・。」

のび太「またよけいなこといっちゃった」
(小学館/藤子・F・不二雄『ドラえもん』10巻「のび太の恐竜」)

この例のように、無謀にも「やる」「できる」「もっとすごいものを」みたいなことを大勢の前で啖呵きって言っちゃうんですよね。

いっつも後悔してドラえもんに泣きついてはいるものの。

虚栄心かもしれませんが、まずはそういう「欲求」がないと!

組織にしがみついて目立たず生きていくなんて生き方は、のび太にはできないんです。

なにか「デッカイ」ことがやりたいんですよ。そういう男です。

「まず周囲に言葉に出して言ってみる」っていうのは自己啓発本でもよくでてくることですが、のび太は子どもの頃からやってたってこと。

え?ドラえもんがいるから言えるんだって?

啖呵きっちゃうのは生来の気性だと思いますよ。結構思わず言っちゃって泣きつくケースが多いんで。

事実、この「のび太の恐竜」ではドラえもんに協力を拒まれたあとも、「いまさらあとへはひけない」と山のように本を積み上げて勉強し、予測をつけて発掘にでかけ、運も手伝って結果的に恐竜の卵の発掘に成功します。

社長になったら「誰も見たことのない画期的な新商品を発売する!って言っちゃった。みんな助けて!」って社員に泣きついて、無謀だと責められつつもひとりで先頭切って取り組んで、やがて理解と協力を得ながら有言実行にしてしまう。

そんなことがない、とは言えないと思うんですよね。

無意味な仕事が嫌い

人間は「無意味」に耐えることができない。

シベリアの強制労働で精神に異常をきたすほど辛いのは、午前に掘った穴を午後に埋めさせられること、だそうです。

のび太はこんなことも言っています。

「こんなことをしても、一円ももうからない。まったく無意味だよ。無意味なしごとってのは、とくにくたびれるもんだ。」

のび太「無意味な仕事ってのは特にくたびれるもんだ」
(小学館/藤子・F・不二雄『ドラえもん』8巻「カネバチはよく働く」)

特に大きな組織や血の入替が長いこと進んでいない部署などは、いつのまにか無意味な仕事が増えてしまいがちです。

そんなとき、社長が

「こんなことをしても、一円ももうからない。まったく無意味だよ。無意味なしごとってのは、とくにくたびれるもんだ。」

と言いながら、必要のない会議。必要のない資料作成。必要のない決済などをズバズバなくしてくれたらどうでしょうか。

成果を出すために本当に必要な仕事、「意味のある」仕事だけに社員が集中できるようにしてくれたらどうでしょうか。

生来怠け者だけど、欲望だけは尽きないのび太は目的達成に必要のない仕事は極力減らし、効率経営をしてくれる気がします。

信念のある男

のび太は信念を曲げず、劣勢において断固とした態度をとれる人間であることも証明します。

(このエピソードでは、結果的にだまされていますが…)

「ああ、かえれ。信念のないやつはいても邪魔になるばかりだ」

のび太「信念のないやつはいても邪魔になるばかりだ」
(小学館/藤子・F・不二雄『ドラえもん』10巻「ニセ宇宙人」)

会社が傾いた際に、不穏な動きをする社員に対する毅然とした彼の対応が見えるようです。

弱気だったり優柔不断そうに見えて、案外シャッキリしているところもあるのび太社長。背を見せる社員に懇願して残ってもらうなど毛ほども考えず、逆に厳しく追い出すような態度は残った社員の結束力を高め、巻き返しに向けて地を固めることでしょう。

サボるためには勤勉になることもいとわない

努力しなくてもいいための、努力は惜しまない。

のび太はこんな決心もしています。

「ぼく勉強する!」

「勉強して発明するんだ。勉強しなくても頭のよくなる機械を。」

のび太「勉強して発明する。勉強しなくても頭のよくなる機械を」
(小学館/藤子・F・不二雄『ドラえもん』15巻「人生やりなおし機」)

オチに使われているセリフで笑うところなんですが、案外大事な発想だと思っています。

少し単語を置き換えてみましょう。

「ぼく頑張る!」

「頑張って作るんだ。頑張らなくても成果のでる仕事の仕組みを。」

のび太は勉強なんかしたくないんですよ。能力も意識も低いから。でもこのままではよくない。それはわかっている。

したがって、「努力しなくても成果が出せる方法を見つけるためには努力を惜しまない」ようにするのです。

こんなのび太が作った仕事の仕組みはうまく機能するでしょう。それはのび太本人のように「能力が低い」ことを前提として作られるからです。

意識や能力が高いことを前提とした仕事は代わりがきかないことが多い。

これは会社組織としては弱点なんですね。高い給料を支払わねばならなかったり、穴をあけられた際に業績が不安定になりがちだからです。

人の「能力」に依存しない仕組みはれっきとした会社の資産。

理解力が低くても記憶力が悪くても「誰もが」「短い訓練期間で」「同等の成果」が出せるようになればそっちの方が組織として強いことは間違いありません。

私には、のび太社長が社員に対して生真面目に単純作業をやり続けることを強制する姿が、どうしても浮かばない。

なんというか、のび太はダメなところがある人間ですが、彼のダメさってそういうことじゃないと思うんですよ。

「もっと残業しろ!」よりも「もっと楽できないの?」と要求する姿は想像できます。

『ドラえもん』との生活

「ドラえもんと10歳から生活した」

この事実は、最も大きなブーストとなるでしょう。

10歳の頃から、小言も含めてのび太の将来のために尽くしてくれる存在。

これだけでも随分違うと思うのですが、それに「未来の道具」の体験が加わります。

起業のアイデアの一つひねり出すにしても、発想の幅が同世代の常人とはまったく異なってくるのではないでしょうか?

例えば、2010年代時点での表計算ソフトの一般化を知ってなお、1980年代にそろばんのお稽古に通うのかどうか。

反復練習で培った技能としての「計算」は、電卓で行えるようになり、やがて表計算ソフトによってさらに複雑な処理を圧倒的な正確性とスピードで解決してくれることを知っている人間は手を出さないでしょう。

様々な不可能ごとを解決してしまう未来の道具の体験は、必ずのび太の発想の射程距離を伸ばします。

まだまだ未来が広がる道と先がふさがっている道の見極め。まったく新しい道の発見。

そういったものの判断にも大いに役立つことでしょう。

まとめ

「ちょっと、のび太は叩かれすぎ」

それが今回の記事書いた動機です。

前回の記事、『ドラえもん』読むとクズになる?んなわけない教育的エピソード6選と合わせて、のび太のフォローをしてみました。

もちろん普通にダメなところはたくさんあるし、ちょっとエロさに素直過ぎるんじゃないかという気がします。

時代でしょうかね。それは否めない。

しかし。

倫理観が発達した現代では、「ラッキースケベ」という不可抗力の形をとることで倫理の問題はクリアされてしまい、いまや性描写そのもの、性消費そのものの悪質さは過去の非ではないと思います。

「比べればマシ」と相対化してそれで終わりとするつもりもありませんが、

「とりあえず6巻まで!」

とりあえず6巻までならOK、と声を大にして言いたい。

いわば“『ドラえもん』第1期”と言える区切りですが、そこまでであれば、強い批判が必要な表現は個人的には見当たりません。(風呂のぞきもない。)

なにより、ラストがいいですね。これからの成長を予感させます。

お求めやすい、6巻までの購入をPUSHします。

それでは、また!

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